「勝たせる会」第4回総会 & 勝利をめざす決起集会 2013/11/26(火)

■基調講演・宇都宮健児弁護士

(日弁連前会長、年越し派遣村名誉村長)

 私は長年、サラ金・クレジット問題、そして貧困問題に取り組んできた。新聞労連は30年間クレサラ問題を支えてくれた。縁のある労働組合だ。
 秘密保護法に反対する集会が11月21日に行われ1万人近くが集まった。
 昨年2月、民主党政権下で“秘密保全法”が論議されている時、日弁連は対策本部を設置し、国会に上程されないように活動をしてきた。思想的には右から左まで全ての弁護士、企業・労働者・消費者そしてサラ金の弁護士まで全ての弁護士が参加している。
 日弁連会長時に“貧困対策本部”を設置し、社会保障・生活保護・ワーキングプア問題に対処し、低所得・困窮者の支援をしている。
 弁護士の動きが労働運動と結びつけば良いと思っている。
 2008年、経済大国と言われる日本に貧困が広がっている事態を、目に見える様にしたのが“年越し派遣村”であり、大きな意義があった。
 2009年8月の衆議院選挙で民主党政権が生まれた。「コンクリートから人へ」をスローガンにして支持を受け、貧困・格差の解消と労働者の権利確立が期待された。
 しかし、残念ながら自民党以上の悪政を進め、衆参の選挙で大敗を喫した。
 民主党政権下で、貧困が拡大し、非正規労働者は2000万人を超え、働く者の4割近くが非正規となった。200万円以下のワーキングプアが6年連続で1000万人を超えている。
 労働者の年収の平均は、1997年をピークに下がり続け、467万円から408万円となっている。25兆円も給与総額が減っている。
 その間、GDPは上昇し、労働者の給与総額は減少している。先進国では日本だけの事だ。
 25兆円は、誰かが持っていっている。
 株主配当は10年で2倍以上に、役員報酬も10年で2倍以上、年収5000万円を超える高額所得者は10年で3倍に激増している。
 企業の内部留保が10年で1.5倍・290兆円となっている。
 労働者の給与が減り、大金持ちが増えている事が、あまり社会に知らされていない。
 以前、高額納税者が国税局から発表されていた。サラ金のオーナー・経営者が2、3人入っていた。武富士やアコムだ。これらの資料を持ち、国会議員に対し「サラ金は儲かっている」「搾り取っている」「金利を下げても良い」と説得して回った。
 その結果、法制化へとつながった。
 高額納税者の報道を、最近見なくなったので問い合わせると、国税局は2005年から発表を止めたという。
 国民の怒りを起こさせない様に事実を報道しなくなった。大変けしからん事だと思っている。
 失業者の2割しか失業保険を受け取っていない。8割が無収入だ。ヨーロッパでは、失業しても無収入になる事はない。
 日本では、国民年金が月あたり6~7万円、一人では生活できず生活保護に頼るしかない。ヨーロッパでは、年金は生活保護以上に設定されている。
 日本の社会保障制度は脆弱だ。
 非正規労働者・ワーキングプアの増大が、貧困・格差増大の大きな要因となっている。労働者が普通に働いていけない。人間らしい生活ができるようにする政策が必要だ。
 一番大切なのは最低賃金の引き上げであり、そして非正規労働者の待遇改善が非常に重要だ。
 日本では、派遣労働者の賃金は正社員の半分位で昇給・ボーナスもない人が多い。
 ドイツでも派遣労働はあるが、正社員に比べ賃金は高く設定されている。不安定でリスキーな働き方をしている労働者が高額なのは当たり前、という考え方らしい。企業とすれば“高額”な労働者は増やしたくないから、日本の様に派遣労働が広がらない。日本と全く逆だ。
 ドイツでは、全国一律最低賃金制度導入へ向かっている。8.5ユーロ・約1150円だ。
 ヨーロッパでは格差・貧困の解消政策が打たれようとしているが、日本では格差が拡大している。経営者の問題もあるが、政治の姿勢が大きい。
 ヨーロッパの様に、医療と教育の無料化で、落ち着いた社会が形成できるのではないか。
 教育の無料化は、貧困の連鎖を克服するための重要な措置だ。ヨーロッパでは、奨学金は返済不要だが、日本では2分の1が奨学金を必要とし、その内7割が利子付の奨学金だという。卒業後仕事につけず、奨学金返済の滞納が激増しているという。30万人が滞納し、取り立てが厳しく、1万人が裁判となっている。
 簡易裁判所の裁判の数は「昔サラ金・今奨学金」というとんでもない社会となっている。
 日弁連では“生活保護”という名称からいっておかしいと考えている。この名称は、国が恵んであげる・恩恵としての社会保障の発想であり、権利性を明確にした法律とすべきだと考えている。“生活保障法”とすべきだ。
 現在、予算は3/4が国、1/4が地方自治体の負担となっている。自治体負担があるため、鬼のケースワーカーは、仏のケースワーカーがいる隣りの自治体へ行けと、切符を渡す事態もある。憲法25条に定められている“生存権”の具体化であり、基本的人権である“生活保護”が、場所により違う扱いをされるというのはおかしい。全額、国とすべきだ。また、ケースワーカーの増員も必要だ。
 消費税増税で、貧困・格差は広がる。
 低所得者は収入のほとんどを生活費として支出する。年収5000万円を超える人は、収入の一部しか使わないため、一部しか課税されない。
 1989年の消費税3%導入時、1997年の5%への増税時、いつも所得減税・法人減税が行われてきた。今回は行なわれない。
 元大蔵官僚の武田知弘さんが「税金は金持ちから取れ」という本を出している。彼に言わせると、1988年の消費税導入前の法人税・所得税に戻せば十分やっていけるという。所得税は、1980年のピークで75%、今は40%だ。金持ちが軽減され続けている。
 金持ちはケチだ。その代表である経団連は、消費税増税、法人税減税・所得税減税と言っている。
 武田氏は示唆している。2010年、トヨタの社長は3.4億円の収入を得、各税を合わせ20.7%を納めている。しかし、労働者は非正規・正規を平均し、412万円の収入に対し、各税を合わせ34.9%を納めている。高収入の方の税金が軽くなっている。
 これは、株主配当の所得税・住民税の上限が10%とされている事、社会保障費が1000万円を上限とされている事など、抜け穴をたくさん作っている為だ。私たちは、主権者として税金の事をもっと勉強すべきだ。
 そうでないと、「国は1000兆円の赤字を抱えている」と言われると、家計も大変だが、国も大変と、消費税増税に納得してしまう。
 そうではなく、国は1400兆円の資産を持ち、金持ちは8000兆円の資産を持っている。1%の富裕税で80兆円となる。
 国家予算は40兆円と国債に過ぎない。“金持ちから税金を取れ”運動を進めたい。
 金持ち1万人の中に何人か賛同して貰えれば、クレサラ・貧困問題の様に、運動にできる。先ほど、「経営者の中にも、労働運動を支援してくれる人がいる」との挨拶があった。一緒に是正していきたい。
 安倍首相は、社会保障費を3年間で670億円削減するとしている。同時に、11年ぶりに軍事費を増大させる。
 秘密保護法と同時に、生活保護改悪法案も出されている。これまで申請は、口頭だったものを書面にし、財産や収入の証明、家族関係も徹底的にやる。締め出す悪法だ。これを突破口に社会保障全般の改悪を行なおうとしている。
 憲法の明文改憲は国会で2/3が必要であり、参議院では2/3以下だ。だから明文改憲ではなく、解釈改憲へと進んでいる。秘密保全法で、知る権利を侵害し、これは軍事立法の側面を持っている。国防軍創設へと向かう。憲法25条を空洞化・骨抜きにするものだ。
 労働法の規制緩和をやろうとしている。“ホワイトカラーエグゼンプション”を名前を変えての再提案だ。
 雇用特区・はブラック特区は一時先送りにされているが、基本的に“特区”は全国へ広げる先鞭だ。「企業が世界で一番活動しやすい国」をつくるという名の下に、“残業代は払わんで良い”“簡単に解雇できる”という体制を作ろうとしている
 規制改革会議には「連合」も入っていない。労働者代表は誰も入っていない。「企業が一番活動しやすい」とは、労働者にとっては地獄だ。働く者の人権や生命が犠牲になる様な社会を作ろうとしている
 人権軽視、労働法の骨抜きに対する反撃をどうするかが、これからの闘いで非常に重要だ。
 現場の労働者、とりわけ非正規の闘い、橋場さんの闘いが重要だ。
 クレサラ問題に対する闘い・立法運動は、多重債務者が立ち上がり、“借りた者責任論”を打破する事ができた。“自分が問題だ”と感じていた人がたくさん集まり話し合う事で、互いに勇気を出して発言するようになった。声をあげる事でマスコミが変わり、世論が変わった。「問題があるのはサラ金の方だ」と。
 弁護士、司法書士だけの闘いではダメだった。
 当事者が、恥ずかしいけど勇気を出して発言をしていく。そして次から次へと立ち上がっていく。これが世論を作り、2006年画期的法改正となった。
 非正規の当事者が立ち上がる事、正規の連帯、そして、不平等・不公正に怒りを持つ人々の連帯・支援が必要だ。
 首都圏青年ユニオンには顧問弁護士が20人いるが、顧問料は貰わず、逆に“賛助金”を出している。
 支援の大きな輪が運動を支える。
 私も、橋場さんの闘いを会員となって応援していく。

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